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  • 宇野 重起

医事課長が管理すべき2つの重要項目




前回に引き続き医事課長育成プログラムの中から、「医事課長が管理すべき内容とは?」について触れていきたいと思う。


医事課長が管理する守備範囲は、前回も触れたが広範に及ぶ。医療機関の表だった部分のほぼ全てを管轄するポジションである。その中でも、日々の業務としての日次的管理業務と、医事課職員から上がってくる各種データ等を月次的に管理する月次的管理業務に分別が出来る。

日次的管理業務については、前回内容でも触れているので、今回は月次的管理業務について触れたい。


前回も記載したとおり、医事課の業務は

① 受付関係(保険確認等を含む)

② 医事算定関係(入院/外来)

③ 会計関係(収納関係)

④ 電話関係(各種問い合わせ:院内/院外)

に大別される。


この中から、医事課長として管理しなければならないのは、「カネの番人」という副題があるように「カネ」関する内容である。


‘①〜④の中で、「カネ」に関わる内容は、圧倒的に②に集約される。

つまり診療報酬に関する内容である。


診療報酬請求の流れは

(外来)

・日々の診療:受付→保険確認→算定→会計

・月次の診療報酬請求(レセ請求)

になる。

外来では、この日々と月次の中に「カネ」の管理に関する内容が多いのである。

日々の内容に含まれるカネに関する代表格は、「未収金」である。この未収金管理を放置すると、医療経営上の財務に関わる部分に大きな影響を与える(詳細は、医療経営における財務の回で述べる)。さらには、日々の算定の積み重ねの先に月次におけるレセ請求が存在しているので、月初10日間だけの管理とはならない。当然、日々発生する各種疑義に対して、迅速に対応する事が求められる。

(入院)

・入院受付

・保険確認

・預かり保証金(導入していない医療機関も多い)

・病棟との連携

・日々の診療内容の入力

・月次の診療報酬請求(レセ請求)

入院では、外来とは異なり、患者さんが来院して、その日に帰ると言うことはない(一部例外を除いて)。患者さんが宿泊状態である為、日々の作業自体に外来ほどの時間的制約はないが、医療費計算の部分でも入院料、食事、転棟という外来にはない領域が存在しているため疎かには出来ない。入院においては未収金の発生は外来ほどではない。退院時に支払又は、月をまたいだ入院の場合でも入院中に請求書が配布されるので、患者さん自身が院内に滞在しているという事からも未収金の発生は少ない。


入院/外来で共通する部分がレセ請求である。この業務は、どちらも月初10日で仕上げることが必須である為、ハードワークになることが多い。医事課長として管理が求められる筆頭は、この「レセ(請求)管理」であろう。レセ請求は、請求したら満額が入金されるわけではない。請求から入金まで最短で2ヶ月を要し、時にはさらに時間がかかるものもある。この2ヶ月間で何が行われているのか?何故2ヶ月もかかるのか?と言えば、それは、「査定・返戻」である。


査定

 医療機関の請求に対し、審査側が不適当と判断した項目の内容を修正(減額・減点など)

 し、調整された額で支払いが行われることを言う。

返戻

 返戻は医療行為の適否判断し難い場合に、審査側が一方的にレセプト自体を差戻すこと


これは、どちらの場合でも入金までの時間が遅くなるため、医療機関としては避けたい内容である。つまり、医療経営の根幹に関わる部分であるからこそ管理が重要になってくるのである。多くの医療機関では「保険委員会」、「診療報酬委員会」という会議が存在し、毎月1回、事務側と診療側が診療報酬請求に関する内容で協議を行っている。その中で、この査定・返戻にも触れ、どういう理由で査定・返戻が発生しているのか?単に事務側の問題なのか?それとも臨床側にも問題があるのか?を協議し整合性を取る場であり、そこで使われる資料が、「査定分析、返戻分析資料」である。

この査定・返戻の分析作業は、非常に手間のかかる厄介な代物で、対象となったレセ請求を1件ずつ内容確認し、診療報酬制度上の何処に引っかかったのか回答を見つけなければならないのである。件数が少なければ業務的にも負担は少ないが、件数が多い場合は1日では終わらない内容にもなる。保険者側が、ある程度のヒントとして査定事由にA、B、Cという設定をしてくれるので、それを頼りに辿っていけば良いのだが、中には重箱の隅をつつくようなものもあり難渋することも少なくない。

査定の件数は、外来<入院であり、外来の件数の方が多い場合が一般的である。入院については算定方法が包括算定になっている場合もあり、レセ上で診療内容を出来高算定ほど細かく確認できない事に由来する。しかし、外来では、全件が出来高算定である為、どうしても件数的には多くなる。

話がそれるが、医療における収入の入院と外来の比率(入外比)は、一般的には7:3〜8:2とされている。つまり収入の7割8割が入院診療である。しかし、患者数で見ると、外来の方が圧倒的に多い事になり、これも外来の査定・返戻件数が多い要因である。

この査定・返戻分析について、内容を確認すると、


査定:病名漏れ、過剰診療、医学的不適当が大半を占める

返戻:保険不一致が大半を占める


この中で、査定の内容については臨床側と意見が分かれることも多く、なかなか医研の一致を指せることが困難な場合があるが、その代表例が、学会推奨と診療報酬の不一致である。医学系各学会で推奨されている治療方法を医師は選択するが、その内容が診療報酬上では完全に認められていない…というケースである。

また、返戻の保険不一致という事象も、患者さんから提示された保険証が使えないものであったり、入力(登録)者のミスであったりするケースが多い。


このように、医療経営の根幹を成す診療報酬に関する内容であるからこそ、その分析管理をしっかりと行うことは非常に重要になってくるのである。


既に触れているが、「未収金」についても同様である。医療における現金は、患者負担分の窓口現金に一存していると言っても過言ではない。この未収金をどう管理していくか?は多くの医療機関で課題ともなっている。未収金は発生ベースでデータベース化し、電話や督促の履歴をしっかり残し、いた面に患者さんを追い込まない手法で回収しきる事が重要である。何十回も電話しても、患者さんを追い込んだら、まず回収は困難になる。電話に出なくなる、着信拒否に設定される等々、患者さん側では色々出来るからである。そうではなく、どうしたら払ってくれるかを考え、時には回収に出向くことも必要である。

私も、病院勤務時代には、未収金管理データベースを作成し、日々発生する未収金のを外来担当者より報告させ、早期の回収に努めることをやっていたのを思い出す。

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