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  • 宇野 重起

これからの病院経営




 日本の現状は、少子高齢化時代から今後多死社会へと変化途上であり、世界の中でも類を見ない超超超高齢化社会に突入します。多くの地域で高齢化率が30%を超え、国家財政における医療費(社会保障費)は年々増加し、その中で医療費削減政策が行われていきます。また、2020年来からの新型コロナウイルス感染症において、日本の医療制度の脆弱性が明らかになり、民間医療機関でも今までのような病院運営が困難になる可能性が高い状況に突入してきました。今後、2025年問題、2040年問題、2050年問題、2054年問題といくつもの山を超えていく必要があり、そんな状況下でも、医療は地域における必要不可欠な存在として存続をしていかなくてはなりません。

 昔は、医療は今ほどの制約もなく、所謂「聖域」という名の下、比較的穏やかに時間を過ごしてきました。診療報酬も大幅マイナスになることもなく落ちついた時代が続きましたが、今では、診療報酬を初めとする医療制度に雁字搦めとなり、病院経営をするにしても、医療は非営利ということで多くの利益を出すことも出来ず、奉仕するかの如く人命と向き合っていかなければなりません。

多くの、構造変化が起こる中で、井の中の蛙大海を知らずが如く、医療を取り巻く周辺環境はどんどん変化をしていく中、医療だけが取り残されていくような状況では、将来的見通しは暗く自院の存続も怪しい状況になります。

 医療経営における最終決定権は、医師免許を持った院長、理事長が担います。昔は、比較的アバウトな経営体質でも大きな山のない時代は大きな苦労なく乗り越えることが出来ましたが、今や情報化社会の真っ只中においては、アバウトな経営は命取りになりかねません。これからの病院経営は、「経営資源」の管理以外では進むことが出来ない時代に突入しています。

経営資源とは、これも一昔前までは「ヒト・モノ・カネ」でしたが、今では、「ヒト・モノ・カネ・情報」となり、最新の考え方では、「ヒト・モノ・カネ・情報・時間・知的財産・ブランディング」の7つを考えていかなければなりません。医療以外の領域(業態)では当り前の考え方ですが、医療においては、「経営資源」という概念すら定着できていない所がまだまだ多くあります。

これからの時代の、複雑化する病院経営を考えるとき、昔のように院長、理事長が全てを背負っていくことは不可能ではありません。しかし、効率化や臨床の在り方、医療の質等、多くの専門的分野での取組を検討する必要がある中で、経営という部分まで背負うとどうなるか?少し前までは「ワンマン経営」という言い方をされていましたが、これからの時代はこれでは通用しません。これからの経営は、データというエビデンスをしっかり抑え経営が求められます。一般企業に於いて成長を続ける優良企業では、経営者の側に必ずと言って良いほど「No.2(黒子)」と呼ばれる存在があります。ソニー、松下電器、ホンダ、HP、マクドナルド等企業の規模も大きいですが、優れたNo2が経営の下支えを担ってきたとされています。

医療においても、「臨床と経営」の二輪で運営できる体制の構築が必要な時代です。

複雑化して学会指針とも合わない診療報酬を細かく理解して、職員に対して細かく指導し、データを集め、自ら分析して経営を続けていきますか?それともNo2を育成して、経営に関する多くの事を任せ、最終決断のみを精査済みの多くのデータを見て判断される体制を造っていきますか?

医者の職務は「臨床」で患者の治療に当たることです。その臨床によって患者に提供された医療サービスを医師の労働対価として現金化するのが事務方の仕事です。勿論全てを任せることは出来ませんが、経営に必要な多くの事を事務方の育成で任せることが出来ます。これからの病院経営、新しい病院経営の導入で一輪車経営から安定した二輪車経営を考えてみませんか?


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